NO.579
高速バス、鉄道系「逆襲」 早割や繁閑…運賃柔軟に
鉄道会社傘下のバス会社が高速乗り合いバスの運賃体系を相次いで見直す。国土交通省の規制緩和を受け、大手の京王電鉄バス(東京都府中市)は2012年度中に運行便ごとに運賃を設定できる新システムを導入。ジェイアールバス関東(東京・渋谷)も13年春までに繁閑に対応した運賃に変更する。需要に見合った運賃設定で格安の高速ツアーバスに対抗するとともに収益性を高める。
道路運送法に基づく事業許可を受けている高速乗り合いバスは7月末の規制緩和に伴い、運賃や運行便数の届け出期限が従来の30日前から7日前まで短縮された。ほぼすべての便を自社で運行する安全管理体制を維持すれば、届け出る料金も繁閑に応じ、幅を持たせることが可能になった。

これを受け、京王電鉄バスは約1億円を投じ、12年度中に基幹システムを刷新。曜日や時間帯などで運行便ごとに複数の運賃を設定できる仕組みを導入する。
例えば、現在4千円の一律運賃で運行している東京・新宿と長野市を結ぶ路線は繁閑に応じてそれぞれ20%程度の幅がある運賃に変更する。金曜日や土曜日の利用者が集中する時間帯を4800円近くに上げる一方、乗客が少ない平日昼間は3200円程度に抑える。

ジェイアールバス関東も年明けをめどにインターネットの予約システムを一新。繁閑に応じた幅のある運賃を導入するほか、早期予約やネット予約を対象にした割引運賃なども新設するという。
名鉄バス(名古屋市)や西日本ジェイアールバス(大阪市)なども運賃を見直す方針。西日本ジェイアールバスは同じ車両内でも通路側など需要が少ない座席については割引運賃も検討している。西鉄高速バス(福岡市)やジェイアール九州バス(同)など九州地区で高速バスを運行する4社も共通で利用する予約システムを13年中に刷新する見通しだ。
高速乗り合いバスの利用者はここ数年、年間1億人程度で横ばい傾向が続く。一方、旅行会社が企画する高速ツアーバスは格安の運賃や柔軟な増便を強みに急成長。04年に2万人だった利用者は10年に600万人に拡大している。
顧客争奪戦でツアーバスに押される一方だった乗り合いバスは規制緩和を受け、現行の一律運賃を転換。繁閑に応じた幅のある運賃や各種の割引運賃を設定し、新たな需要の掘り起こしを急ぐ。
ツアーバスと顧客争奪戦
1億人の高速乗り合いバスに対し、600万人の高速ツアーバス。年間利用者数を比較すれば、その市場規模には圧倒的な格差がある。ただ、首都圏と京阪神を結ぶ基幹路線ではすでにツアーバスの利用者が乗り合いバスを上回る逆転現象が起きている。

首都圏と京阪神の移動手段としては東海道新幹線の輸送実績が年間1億4300万人。高速乗り合いバスは100万人で横ばいが続く。一方、2009年に乗り合いバスを追い抜いたツアーバスは現在110万人を超えている。
東京・新宿と大阪を結ぶ夜行便の運賃を比べると、ツアーバス最大手のウィラーアライアンス(東京・港)の約6400円に対し、京王電鉄バスは3割強高い約8600円。ツアーバスの安さを支持する消費者は多い。
乗り合いバスへの移行に伴い、停留所の新設などの投資負担が求められるツアーバス各社だが、「運賃の引き上げは小幅にとどめる」(乗り合いバス事業者)との見方が主流だ。格安の運賃水準を維持しつつ安全性への対応を強化するツアーバスからの移行組と同じ土俵で戦うことになる既存の乗り合いバスには、顧客流出に対する危機感が強い。
鉄道会社傘下のバス会社が高速乗り合いバスの運賃体系を相次いで見直す。国土交通省の規制緩和を受け、大手の京王電鉄バス(東京都府中市)は2012年度中に運行便ごとに運賃を設定できる新システムを導入。ジェイアールバス関東(東京・渋谷)も13年春までに繁閑に対応した運賃に変更する。需要に見合った運賃設定で格安の高速ツアーバスに対抗するとともに収益性を高める。
道路運送法に基づく事業許可を受けている高速乗り合いバスは7月末の規制緩和に伴い、運賃や運行便数の届け出期限が従来の30日前から7日前まで短縮された。ほぼすべての便を自社で運行する安全管理体制を維持すれば、届け出る料金も繁閑に応じ、幅を持たせることが可能になった。

これを受け、京王電鉄バスは約1億円を投じ、12年度中に基幹システムを刷新。曜日や時間帯などで運行便ごとに複数の運賃を設定できる仕組みを導入する。
例えば、現在4千円の一律運賃で運行している東京・新宿と長野市を結ぶ路線は繁閑に応じてそれぞれ20%程度の幅がある運賃に変更する。金曜日や土曜日の利用者が集中する時間帯を4800円近くに上げる一方、乗客が少ない平日昼間は3200円程度に抑える。

ジェイアールバス関東も年明けをめどにインターネットの予約システムを一新。繁閑に応じた幅のある運賃を導入するほか、早期予約やネット予約を対象にした割引運賃なども新設するという。
名鉄バス(名古屋市)や西日本ジェイアールバス(大阪市)なども運賃を見直す方針。西日本ジェイアールバスは同じ車両内でも通路側など需要が少ない座席については割引運賃も検討している。西鉄高速バス(福岡市)やジェイアール九州バス(同)など九州地区で高速バスを運行する4社も共通で利用する予約システムを13年中に刷新する見通しだ。
高速乗り合いバスの利用者はここ数年、年間1億人程度で横ばい傾向が続く。一方、旅行会社が企画する高速ツアーバスは格安の運賃や柔軟な増便を強みに急成長。04年に2万人だった利用者は10年に600万人に拡大している。
顧客争奪戦でツアーバスに押される一方だった乗り合いバスは規制緩和を受け、現行の一律運賃を転換。繁閑に応じた幅のある運賃や各種の割引運賃を設定し、新たな需要の掘り起こしを急ぐ。
ツアーバスと顧客争奪戦
1億人の高速乗り合いバスに対し、600万人の高速ツアーバス。年間利用者数を比較すれば、その市場規模には圧倒的な格差がある。ただ、首都圏と京阪神を結ぶ基幹路線ではすでにツアーバスの利用者が乗り合いバスを上回る逆転現象が起きている。

首都圏と京阪神の移動手段としては東海道新幹線の輸送実績が年間1億4300万人。高速乗り合いバスは100万人で横ばいが続く。一方、2009年に乗り合いバスを追い抜いたツアーバスは現在110万人を超えている。
東京・新宿と大阪を結ぶ夜行便の運賃を比べると、ツアーバス最大手のウィラーアライアンス(東京・港)の約6400円に対し、京王電鉄バスは3割強高い約8600円。ツアーバスの安さを支持する消費者は多い。
乗り合いバスへの移行に伴い、停留所の新設などの投資負担が求められるツアーバス各社だが、「運賃の引き上げは小幅にとどめる」(乗り合いバス事業者)との見方が主流だ。格安の運賃水準を維持しつつ安全性への対応を強化するツアーバスからの移行組と同じ土俵で戦うことになる既存の乗り合いバスには、顧客流出に対する危機感が強い。
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