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交通労連 軌道バス部会

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2012/05/07

N.449

バス各社が安全徹底


 群馬県藤岡市の関越自動車道で4月29日、ツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡した事故を受け、県内のバス会社は、十分な休憩確保を乗務員に徹底するなど、安全運転を図っている。
 岩手県交通(盛岡市)は29日、夜間運転や走行距離が500キロを超える場合、乗務員が交代して運転することや2時間おきに休憩を取ることなどを改めて県内外の17営業所に指示。不要な車線変更や急ハンドルをやめることも伝えた。
 同社は東京駅と盛岡駅間や、池袋駅と陸前高田、大船渡、釜石を結ぶ高速バスなど毎日5路線運行している。大型連休の帰省客も多く、城沢優次総務課長は「『高速バスは怖い』という風評が独り歩きして、バス離れにつながらないか不安」と懸念する。
 JRバス東北盛岡支店(盛岡市)も30日、朝の点呼で全乗務員約30人に注意喚起した。
 県バス協会は1日、労働時間順守や過労運転防止を実施する通達を加盟52社に出した。伊壺(いつぼ)時雄専務理事は「県内のバス事業者は、法令順守や安全指導を徹底している。安心してバスを使ってほしい」と話している。







交代ない夜間長距離運転/県内バス会社「規制を」


 交代要員なしで夜間に長距離を運転していた末の事故に、県内のバス会社からは、規制強化の必要性を指摘する声があがった。
 大阪や北陸など長距離の運行も行うみどり市の観光バス運行会社は、「夜行バスは距離にかかわらず、運転手は2人態勢で途中で交代する」という独自規定を設けている。だが、旅行会社からは、料金を安くするために「1人で何とかなりませんか」と求められることもあるという。
 同社はそうした契約は断っているが、価格競争の激化から引き受ける会社も出始めているという。専務の男性(65)は「安全運転に支障が出てきている現状を心配していた。規制が厳しくなり、価格が守られ、安全運転が守られる方が望ましい」と訴えた。
 中之条町市城の貸し切りバス会社「湯本自動車サービス」の湯本正一社長(53)は、「事故を起こしたバスはチケット価格が安すぎる。当然、運転手を2人つけられる条件ではない。いくら価格競争と言っても、自分でちゃんと値段を設定しなくてはいけない」と指摘した。
 夜間は長距離でなくても運転手2人態勢というまた別の県内ツアーバス会社は、「法律を守ればそれだけで良いという訳ではない。きちんと安全を考えているところもあるので、『夜行バスは危ない』という風評被害が起きなければ良いが」と懸念を示した。







バス事故懸命の治療、捜査/県警、運転記録計など押収


 藤岡市の関越自動車道でツアーバスが防音壁に突っ込み、乗客7人が死亡、運転手も含め39人が重軽傷を負った事故。けが人が搬送された県内の各病院では一夜明けた30日も、懸命な治療が続けられ、駆け付けた家族らは安否の確認に追われていた。一方、県警は変形したバスをできるだけ元の状態に復元させ、実況見分を行うなど、事故原因の究明を進めた。

■遺体は家族の下へ
 けが人は事故直後、県内の12病院に搬送されたが、軽傷者は当日中に治療を済ませ帰宅した人などもいることから、県警によると30日現在7病院に18人が入院している状況となった。
 5人が入院している前橋赤十字病院では、3人に集中治療室(ICU)で治療が行われた。意識不明の重体の義理の娘を見舞った金沢市の石川県議、金原博さん(82)は報道陣に「骨が砕け、声を掛けても意識がない。別の病院に入院している孫は、食事も取れず、ショックで何も話せない様子」と沈痛な面持ちで話した。
 病院敷地内にある体育館には、7人の遺体が安置されていたが、30日未明までに、全ての遺体が家族に引き渡された。
 この日、各病院ではツアーを企画した旅行会社「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)の社員たちが、被害者を訪ねる姿があったが、報道陣の問いかけには「すみません。しゃべれないことになっているので……」と言葉少なだった。
 公立富岡総合病院で、入院中の長女(23)に代わって同社員たちの謝罪を受けた石川県志賀町の父親(51)は「娘のケガが完治するまできちんと責任を持つ、誠意ある対応を見せてほしい」と静かに語った。

■捜索を開始

 県警は40人態勢で捜査を続け、30日は県内外で関係先の捜索や実況見分を行った。
 バスを運転していた河野化山運転手が勤務する「陸援隊」(千葉県印西市)の事務所と社長宅を捜索、事務所の捜索は13人がかりで4時間以上にも及び、両所で書類など計45点を押収した。
 高崎市の高速隊本部前では、バスの実況見分を開始。衝突で折れ曲がった車体をレッカー車を使い、できるだけ元の状態に戻したり、座席を地面に並べて事故当時の状況を再現したりしていた。
 見分の現場には、乗客の家族とみられる人が訪れ、県警幹部が大破したバスの車体や座席を指さしながら、事故の状況などを説明していた。
 県警によると、車内の捜索もあわせて行われ、走行速度などを記録する運転記録計やカーナビなど8点を押収した。
 軽傷で話せる状態の乗客に対しては、事故当時の状況などについて逐一事情を聞いたが、河野運転手に対する聴取は行っていないとしている。県警幹部は「治療を先行させたい。被疑者の死亡は最大の証拠隠滅につながる」と話し、慎重な姿勢を貫いている。







7人死亡運転手 異なるルートなぜ/県警、勤務実態など慎重捜査


 最初に入ったインターチェンジの名は「忘れた」。死者7人を出した関越道バス事故で、自動車運転過失致死傷容疑で1日逮捕された河野化山容疑者(43)は、県警の調べにこう供述した。居眠り運転のうえ、上信越道を通る当初ルートとは異なる関越道に入ったのはなぜか――。県警は、勤務していたバス運行会社「陸援隊」(千葉県印西市)の従業員の勤務実態や管理態勢についても慎重に調べる方針だ。
 県警の発表によると、河野容疑者は中国出身。日本滞在期間は19年間で、2009年7月に今回のような大型バスを運転できる大型2種免許を取得したばかりだった。調べに対し、居眠りの理由について「疲れていた」と話しており、県警は、疲労のうえ、慣れないルートを運行した可能性もあると見て裏付けを進める。
 河野容疑者は1日午後4時5分、入院していた前橋赤十字病院(前橋市朝日町)の病室で逮捕された。約10分後、救急患者の搬送口から姿を見せ、横付けされた車に乗せられて、捜査本部が設置された県警高速隊本部(高崎市)に向かった。小雨が舞う中、素足にサンダル履き。紺の上着のフードをかぶり、無精ひげの伸びたあご付近が見えるだけで表情はうかがえなかった。
 河野容疑者は事故前、サービスエリアなどで休憩中に、疲れた様子でハンドルに突っ伏している姿を乗客に目撃されている。1日に県警本部で行われた逮捕の発表で、木村光雄交通部長は、取り調べの様子について、通訳を立ち合わせて淡々と答えていたと語った。現在歩行できる状態で、事故の報道も病室のテレビで見ていたという。交通部長は「遺族のことを考え、一刻も早くということで、逮捕に踏み切った」と語った。
 金沢駅を出発する前の行動については、「ホテルで寝たり起きたりしていた」「チェックアウト後は食事をするなどして過ごしていた」などと説明しているといい、県警は今後、供述の裏付けを進める。
 河野容疑者の逮捕について、陸援隊の針生裕美秀(はりうゆみひで)社長は1日、読売新聞の電話取材に「けがをされた方や亡くなった方のご家族への対応をしたいので(取材は)遠慮してほしい」とだけ語った。
 陸援隊の同僚男性は「今まで事故を起こしたことはなかったと思う。他の運転手と順番に休みもしっかり取っていたはずで、疲れていたようには見えなかった」と語った。陸援隊の会社事務所は人の出入りはほとんどなく、静まり返っていた。







バス7人死亡 高崎消防奮闘4時間/治療、搬送迅速に


 藤岡市の関越自動車道で7人が死亡したツアーバス事故で、事故直後の現場の状況や約4時間にわたる救助の様子が2日、明らかになった。治療や搬送の優先順位をつけて救命率を向上させるトリアージなどを実施した高崎市等広域消防局(八千代町)は読売新聞の取材に応じ、未経験の大規模事故に冷静に対処したとの認識を示した。

◆大規模事故を想定

 第一報は事故発生から12分後の4月29日午前4時51分。東日本高速道路関東支社の岩槻道路管制センター(さいたま市岩槻区)からで、「車数台の事故発生」だった。しかし、その1、2分後の第2報では「マイクロバスの事故」と訂正。さらに「大型バスの事故。後部から煙が出ている」と再訂正。
 この時点で、同消防局は「大規模事故災害」を想定。2隊派遣していた救急隊をさらに3隊増強するとともに、「人命救助最優先」「トリアージの実施」などの活動方針を隊員に伝えた。
 午前5時7分、高崎東消防署群南分署のポンプ車隊(5人)が最初に現場到着。防音壁がくい込み、大破したバスの惨状を目にする。乗員乗客46人中、すでに軽傷者約25人は非常口からバスを脱出し、約80メートル離れた路側帯で不安そうに肩を寄せ合っていた。
 エンジン部分の火災は放水ですぐに鎮火。救助隊員らはバス右側の窓枠3か所を油圧式工具で取り外し、はしごを掛けると、車内に乗り込んだ。車内は荷物が散乱し、窓と左端の座席列の間に防音壁がくい込んでいた。左前部の座席は変形こそすれ、おおむね元の位置にあった。しかし、乗客は通路や座席上で折り重なるように倒れており、意識のない人もいた。
 隊員らは、油圧カッターなどを使って、救出の障害となる左側の座席を取り外した。ストレッチャーを運び込んでけが人を収容し、「大丈夫」「頑張って」などと励ましながら窓や非常口から次々に運び出した。
 運転席の河野化山(かざん)容疑者(43)は話せる状態で、挟まれていた座席から救助されると、警察官に連れていかれた。

◆初のトリアージ

 トリアージは、バスの後方に設けた3か所の救護所に5・4メートル四方の専用シートを敷いて行われた。訓練経験こそあったものの、同消防局が本格的なトリアージを行うのは初めて。「助かる命を優先して搬送した。心の痛い作業だった」(警防課)と振り返った。
 その頃には、前橋や多野藤岡など六つの消防本部からの応援隊も続々と到着。同消防局の非番招集も含めて総勢は34隊109人にも及び、救急隊は次々と被害者を高崎、前橋、藤岡など5市12病院に搬送した。午前9時26分、現場指揮本部は閉鎖された。
 同消防局幹部は「今回のような高速道での大事故は初めてで救出活動は非常に困難だった。その中で、普段からの各署や分署との合同訓練で培われたものがうまく機能した」と話した。







高速バスに見送りスタッフ ハーヴェスト社


 7人死亡事故が起きた高速バスツアーを企画した旅行会社「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)は2日の便から、金沢発東京行きの高速ツアーバスで、乗客の点呼などを行う「見送りスタッフ」を配置した。
 金沢市のJR金沢駅西口近くのバス乗り場では午後10時10分の出発を前に、ハーヴェストの関係者が「ハーヴェストライナーです。東京行きです」と声をかけながら乗客を呼び集め、名簿で乗客の名前や人数などを確認していた。大きなカバンを持った若い男女など約40人が、運転手2人の待つバスに次々に乗り込んだ。バスはほぼ満席で定刻通りに出発した。
 同社が2日の記者会見で、事故後の新指針として見送りスタッフを同日便から置くと発表していた。
 乗客の金沢市旭町、大学生和田昌大さん(22)は「事故前に予約していた。安さに魅力がある。今回は運転手が2人いるので大丈夫だと思うけど……」と不安そうに話し、乗り込んだ。







関越道事故 運転手「バスでベルト着けない」


 関越自動車道で7人が死亡した高速ツアーバスの事故で、バスの最前列に座っていて重傷を負った志賀町、県職員牧出光さん(23)が事故が起きる前、自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された運転手の河野化山容疑者(43)から「バスでシートベルトを着ける人なんていない」と説明されたことが3日、家族の話からわかった。
 群馬県富岡市の病院に入院する牧出さんから話を聞いた父(51)らの説明によると、牧出さんは事故前、座席のシートベルトが壊れていることに気づき、河野容疑者に直すよう頼んだが、「『シートベルトを着ける人はいない』と言われた」という。
 牧出さんはそれでも再度頼み込み、シートベルトを直してもらい、装着したという。
 牧出さんの祖母(75)は「装着していたおかげで車外に放り出されず命が助かったのではないか」と話した。
 バスのシートベルトについては、軽傷を負った金沢市割出町、金沢工大生(22)も母に「座席のシートベルトが装着できず、壊れていた」と説明していたことがわかっている。



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